文・編集委員・中島隆、写真・西岡臣
とある歴史小説家の記念館が、大阪にあります。そのお方のファンでなくても安らげる館。この季節、菜の花であふれていました。
デジタル社会についていけない初老記者(58)は、町工場の街、大阪府東大阪市を自転車でさまよう。この欄の担当が回ってきた。どこを訪ねようか考えながらペダルをこぐ。「司馬遼太郎記念館はこちら」の矢印があった。
記念館があるのは知っていたが、近寄らなかった。だって、司馬さん(1923~96)の作品で読破できたのは「竜馬がゆく」全8巻だけ、「坂の上の雲」は挫折、ほかの本は手に取ってさえいない。アナログ人間のくせに情けないもの。
まっ、いいか。
学芸員に連絡をとる。住宅街に迷いつつ、記念館の入り口にたどりつく。
記念館は雑木林のような庭が広がる。黄色い菜の花の鉢植えが、司馬さんの書斎の前にずら~り。「地域の方々と、府立布施高校の生徒たちが手塩にかけて育ててくれたものです」と学芸員の木村亜子さん(46)。司馬さんの命日である2月12日は「菜の花忌」と呼ばれる。庭では春夏秋冬、それぞれの花が楽しめるのだそうだ。
安藤忠雄さんが設計した記念館だ。ガラスが張り巡らされた、ゆる~い右カーブにも菜の花の花瓶が、並ぶ。一般の撮影可は、ここまで。
後半では、地元で人気のグルメスポット紹介や、会員登録すると応募できるプレゼントもあります。
中へ。地下1階から上へ高さ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル